社会保険労務士とはどんな資格?
社会保険労務士(通称:社労士)とは、企業などで働く人々の「労働」と「社会保険」に関する専門家であることを証明する国家資格です。
企業は従業員を雇うときに、必ず「労働基準法」や「労災保険」「雇用保険」「年金」など、複雑な法律・制度を守らなければなりません。
社労士は、これら複雑な社会保険や労働に関する法律の専門家として、会社やそこで働く人たちを支援します。
「労働・社会保険の専門家」として、企業が法律に沿って正しく運営されるようにサポートしたり、従業員が安心して働ける環境づくりを助けたり、
ときには会社と従業員の間に立ってトラブルを解決したりと、人と会社のスムーズな関係づくりに貢献します。
資格の種類
社会保険労務士は「国家資格」であり、「独占業務資格・名称独占資格」です。
難易度と勉強時間
| 難易度 | ★★★★☆ <やや難しい> |
| 勉強時間 の目安 | 800〜1,000時間。 仮に900時間の勉強時間だと、 試験日まで残り6ヵ月の場合、「毎日約5時間」、 試験日まで残り9ヵ月の場合、「毎日約3時間半」、 試験日まで残り1年の場合、「毎日約2時間半」勉強する計算になります。 |
効率的な資格学習のポイント(学習スタート時/試験直前期、効果的な暗記法、集中力が切れた時の対処法)の記事はこちら!
社会保険労務士試験の合格率
過去7年の平均合格率は「6.4%」です。
社会保険労務士試験は、毎年約4万人が受験し、約2,500人が合格しています。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 43,421 | 2,376 | 5.5% |
| 令和6年度 | 43,174 | 2,974 | 6.9% |
| 令和5年度 | 42,741 | 2,720 | 6.4% |
| 令和4年度 | 40,633 | 2,134 | 5.3% |
| 令和3年度 | 37,306 | 2,937 | 7.9% |
| 令和2年度 | 34,845 | 2,237 | 6.4% |
| 令和元年度 | 38,428 | 2,525 | 6.6% |
| 平均 | 40,078 | 2,558 | 6.4% |
資格試験の概要
受験資格
社会保険労務士試験は、誰でも受験できるわけではありません。
受験するためには一定の条件を満たす必要があります。
代表的な受験資格は以下の通りです。
| 学歴による条件 | ・大学、短期大学、専門職大学などを卒業していること(提出書類:卒業証明書もしくは修了証明書) ・大学で62単位以上の卒業要件単位を修得していること(提出書類:大学の成績証明書) |
| 実務経験による条件 | 労務管理や社会保険事務などに3年以上従事した経験があること(提出書類:実務経験証明書) |
| 国家資格による条件 | 行政書士や公認会計士、税理士、中小企業診断士など、特定の国家試験に合格していること(提出書類:合格証明書) |
試験内容
社労士試験の試験形式は2種類
社労士試験は、「選択式試験」と「択一式試験」の2種類で構成されています。
どちらも「マークシート方式」になります。
| 選択式 | 択一式 |
|---|---|
| AM(80分間) | PM(210分間) |
| 1科目あたり5つの空欄がある問題が出題されます。 20個のキーワードから、この5つの空欄に当てはまる語句を選択する形式です。 | 1つの問題に対して、5つの選択肢があり、そこから正解を選ぶ出題形式です。 |
試験科目
社労士試験は、
の10科目で構成されます。
各科目のつながりを意識することで、効率的に学習が進みます。

「選択式」と「択一式」で出題される問題数は、下記の表のとおりです。
| 選択式 | 択一式 |
|---|---|
| 労基+安衛(5問) | 労基(7問)+安衛(3問) |
| 労災(5問) | 労災(7問)+徴収(3問) |
| 雇用(5問) | 雇用(7問)+徴収(3問) |
| 労一+社一(10問) | 労一(5問)+社一(5問) |
| 健保(5問) | 健保(10問) |
| 厚年(5問) | 厚年(10問) |
| 国年(5問) | 国年(10問) |
| 合計40問 | 合計70問 |
合格基準
社労士試験は、選択式と択一式いずれも、「科目ごと」と「総得点」で合格基準が設けられています。
| 選択式 | 択一式 |
|---|---|
| 総得点40点中28点以上 かつ 各科目5点中3点以上 | 総得点70点中49点以上 かつ 各科目10点中4点以上 |
また、特定の科目の難易度が高かった場合、合格基準点を引き下げる「救済制度」というものがあります。
救済制度は、その年の試験問題の難易度が高すぎて、ほとんどの受験生が選択式で3点取れていなかった場合、
救済として、「その科目は2点でも良いですよ」といった制度です。
(択一式でも救済措置が発生することもあります)
過去の合格基準は、下記の表のとおりです。
| 選択式 年度 | 合格基準点 | 救済科目 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 総得点22点以上 かつ各科目3点以上 | 「労災」・「労一」・「社一」は2点以上 |
| 令和6年度 | 総得点25点以上 かつ各科目3点以上 | 「労一」は2点以上 |
| 令和5年度 | 総得点26点以上 かつ各科目3点以上 | ー |
| 令和4年度 | 総得点27点以上 かつ各科目3点以上 | ー |
| 令和3年度 | 総得点24点以上 かつ各科目3点以上 | 「労一」は1点以上 「国年」は2点以上 |
| 令和2年度 | 総得点25点以上 かつ各科目3点以上 | 「労一」・「社一」・「健保」は2点以上 |
| 令和元年度 | 総得点26点以上 かつ各科目3点以上 | 「社一」は2点以上 |
| 選択式 年度 | 合格基準点 | 救済科目 |
|---|---|---|
| 令和7年度 | 総得点42点以上 かつ各科目4点以上 | 「雇用」は3点以上 |
| 令和6年度 | 総得点44点以上 かつ各科目4点以上 | ー |
| 令和5年度 | 総得点45点以上 かつ各科目4点以上 | ー |
| 令和4年度 | 総得点44点以上 かつ各科目4点以上 | ー |
| 令和3年度 | 総得点45点以上 かつ各科目4点以上 | ー |
| 令和2年度 | 総得点44点以上 かつ各科目4点以上 | ー |
| 令和元年度 | 総得点43点以上 かつ各科目4点以上 | ー |
科目免除等について
社労士試験には「試験科目免除」があります。
ただ、ほとんどの方は対象となりません。
主な免除資格は以下のとおりです。
願書申込み受付期間・試験日時・合格発表日
| 願書申込み 受付期間 | 4月中旬〜5月下旬。 |
| 試験日時 | 8月の第4日曜日。 例年、午前の選択式試験は「10:30~11:50(80分)」。 午後の択一式試験は「13:20~16:50(210分)」。 |
| 合格発表日 | 10月上旬。 |
受験地・受験料・運営団体
| 受験地 | 受験地は、全国の主要都市(以下の19か所)に設けられています。 北海道、宮城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、香川県、福岡県、熊本県、沖縄県 |
| 受験料 | 15,000円 |
| 資格の運営団体 | 全国社会保険労務士会連合会試験センター |
合格後の資格登録や社会保険労務士証票の交付までの手続き
社労士試験に合格しただけでは、まだ「社会保険労務士」として活動することはできません。
合格後には以下の手続きが必要です。
| 実務経験2年以上 または 事務指定講習の修了 | 資格登録には、「実務経験」が必要です。 ・会社などで人事・労務に関する業務を2年以上経験している方は、この要件を満たしています。 ・実務経験がない方は、全国社会保険労務士会連合会が実施する「事務指定講習」を受講する必要があります。 |
| 資格登録申請 | 全国社会保険労務士会連合会に資格登録を申請します。 申請が認められると、連合会が管理する「社会保険労務士名簿」に名前が登録されます。 |
| 社会保険労務士証票の交付 | 登録完了後に「社会保険労務士証票」が交付され、正式に社労士として活動できるようになります。 |
資格の有効期限と更新について
社会保険労務士の資格そのものには 有効期限はありません。
一度合格し、登録をすれば生涯にわたって「社会保険労務士」の資格を保有できます。
しかし、社会保険労務士として活動を続けるには、毎年、社会保険労務士会に年会費を納める必要があります。
社会保険労務士の業務内容は?
社会保険労務士の仕事は、大きく分けて4つに分けられます。
社労士だけが行うことが許されている「独占業務」も含まれています。
| 書類の作成・ 提出代行業務 | 会社が従業員を雇用すると、社会保険や労働保険に関するさまざまな書類を役所に提出する必要があります。 例えば、以下のような手続きがあります。 ・従業員の入社・退職手続き:健康保険や雇用保険の手続き ・出産・育児、介護に関する手続き:出産手当金や育児休業給付金の手続き ・労災保険に関する手続き:仕事中のケガや病気に関する手続き これらの手続きは、法律や制度が複雑で、専門知識がないと間違えてしまうことも少なくありません。 社会保険労務士は、会社に代わってこれらの書類を正確に作成し、役所に提出する業務を行います。 会社の担当者の負担を減らし、手続きがスムーズに進むようにサポートする、まさに縁の下の力持ちのような仕事です。 |
| 帳簿書類の 作成業務 | 会社が労働者と交わす大切な書類の作成も、社会保険労務士の重要な仕事です。 例えば、以下のような書類を作成します。 ・就業規則:会社の働き方のルールブック ・賃金規定:給料の計算方法やルールを定めたもの ・労働者名簿:従業員の個人情報をまとめたもの これらの書類は、従業員が安心して働くために必要不可欠なものです。 法律に則って正しく作成することで、後々のトラブルを防ぐことができます。 |
| 労務トラブル 解決支援 | 職場で起こる「解雇」「未払い残業代」「ハラスメント」などのトラブルに対して、企業と従業員の間に立ち、解決に向けてアドバイスします。 また、社労士は「特定社会保険労務士」という上位資格を取ることで、労使トラブルのあっせん手続きの代理人になることも可能です。 |
| コンサルティング業務 | 社会保険労務士は、会社の人事や労務に関するさまざまな悩みの相談に乗ります。 「残業時間を減らしたい」「従業員が辞めにくい会社にしたい」「社員のモチベーションを上げたい」といった課題に対し、法律に基づいた改善策を提案できるのは社労士ならではの強みです。 |
社会保険労務士の就職・転職メリット
社会保険労務士の資格を持つことは、就職・転職活動において大きな武器になります。
特に「人事」「総務」「労務管理」などの分野で高く評価される資格です。
また、就職先によっては資格手当が支給され、年収アップにつながることもあります。
社会保険労務士資格を活かした副業や独立
社会保険労務士は、就職や転職だけでなく、副業や独立でも強みを発揮できる資格です。
- 研修講師
- 給与計算代行
- 就業規則の作成サポート
- 助成金申請のサポート
- スポットでのコンサルティング
社労士資格があれば、自分の「社会保険労務士事務所」を設立することができます。
企業から依頼を受けて、社会保険・労務管理のサポートし、顧問契約を複数社と結べば、安定した収入が期待できます。
自分の裁量で仕事を選び、時間や場所に縛られない働き方が可能です。
特に、中小企業は人事や労務の専門家を置く余裕がないことが多いため、独立した社会保険労務士のニーズは非常に高いです。



