税理士とはどんな資格?
税理士とは、「税金や会計の専門家」であることを証明する国家資格です。
国に納めるべき税金の計算や申告手続きを、個人や会社の代わりに正しく処理します。
世の中には所得税や法人税、消費税、相続税など、さまざまな種類の税金があり、その仕組みはとても複雑です。
税理士は、複雑な税金に対する知識を活かして、個人や会社が正しく税金を計算し、スムーズに手続きができるようにお手伝いをします。
また、税務のプロフェッショナルとして、会社の経営状況を分析し、節税などを含めたアドバイスを行うことも重要な役割です。
資格の種類
税理士は「国家資格」であり、「独占業務資格・名称独占資格」です。
難易度と勉強時間
| 難易度 | ★★★★★ <難しい> |
税理士試験は11科目あるうちから5科目に合格すると資格取得になる「5科目合格制」です。
11科目は下記のとおり、「必修科目2科目」「選択必修科目2科目」「選択科目7科目」に分かれています。
| 必修科目 (簿記論、財務諸表論の両方とも合格する必要があります) | ・簿記論(勉強時間の目安:400~500時間) ・財務諸表論(勉強時間の目安:400~500時間) |
| 選択必修科目 (所得税法、法人税法のどちらかの合格が必要になります) | ・所得税法(勉強時間の目安:600~700時間) ・法人税法(勉強時間の目安:600~700時間) |
| 選択科目 | ・相続税法(勉強時間の目安:400~500時間) ・消費税法(勉強時間の目安:300~350時間) ・酒税法(勉強時間の目安:150~200時間) ・国税徴収法(勉強時間の目安:150~200時間) ・住民税(勉強時間の目安:200~250時間) ・事業税(勉強時間の目安:200~250時間) ・固定資産税(勉強時間の目安:250~300時間) |
必修科目2科目と選択必修科目1科目の勉強時間の目安の合計は、
「必修科目(500+500)」+「選択必修科目(700)」=1,700時間です。
これに選択科目のうち、「相続税法(500時間)」と「消費税法(350時間)」を学習した場合、
税理士試験5科目合格に必要な勉強時間は、1,700+500+350=2,550時間になります。
5科目全てをストレートで合格することが難しいことを考慮すると、
税理士試験の合格に必要な勉強時間は「2,000~4,000時間以上」、
合格までの期間は「最短でも2年、平均4~5年かかる」と言われています。
- 1年目は必修科目の簿記論と財務諸表論を受験
- 2年目は選択必修科目の所得税法か法人税法のどちらかを受験
- 3年目は選択科目のうち2科目を受験する
といったように、各科目の合格率や自分の得意とする科目などを考慮して、計画的に科目合格を狙う必要があります。
効率的な資格学習のポイント(学習スタート時/試験直前期、効果的な暗記法、集中力が切れた時の対処法)の記事はこちら!
各科目の合格率と合格者数
年度ごとの受験者数と合格者数
過去5年の平均受験者数は「30,095人」、平均5科目合格到達者数は「606人」です。
税理士試験は、毎年約3万人が受験し、そのうち約600人が5科目合格者として最終合格しています。
| 年度 | 受験者数 | 5科目合格到達者数 | 一部科目合格者数 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 34,757 | 578 | 5,184 |
| 令和5年度 | 32,893 | 600 | 6,525 |
| 令和4年度 | 28,853 | 620 | 5,006 |
| 令和3年度 | 27,299 | 585 | 4,554 |
| 令和2年度 | 26,673 | 648 | 4,754 |
| 平均 | 30,095 | 606 | 5,205 |
「簿記論」の合格率
必修科目「簿記論」の過去5年の平均合格率は「19.4%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 17,711 | 3,076 | 17.4% |
| 令和5年度 | 16,093 | 2,794 | 17.4% |
| 令和4年度 | 12,888 | 2,965 | 23.0% |
| 令和3年度 | 11,166 | 1,841 | 16.5% |
| 令和2年度 | 10,757 | 2,429 | 22.6% |
| 平均 | 13,723 | 2,621 | 19.4% |
「財務諸表論」の合格率
必修科目「財務諸表論」の過去5年の平均合格率は「18.8%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 13,665 | 1,099 | 8.0% |
| 令和5年度 | 13,260 | 3,726 | 28.1% |
| 令和4年度 | 10,118 | 1,502 | 14.8% |
| 令和3年度 | 9,198 | 2,196 | 23.9% |
| 令和2年度 | 8,568 | 1,630 | 19.0% |
| 平均 | 10,962 | 2,031 | 18.8% |
「所得税法」の合格率
選択必修科目「所得税法」の過去5年の平均合格率は「13.0%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 1,195 | 150 | 12.6% |
| 令和5年度 | 1,202 | 166 | 13.8% |
| 令和4年度 | 1,294 | 182 | 14.1% |
| 令和3年度 | 1,350 | 170 | 12.6% |
| 令和2年度 | 1,437 | 173 | 12.0% |
| 平均 | 1,296 | 168 | 13.0% |
「法人税法」の合格率
選択必修科目「法人税法」の過去5年の平均合格率は「14.3%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 3,583 | 588 | 16.4% |
| 令和5年度 | 3,550 | 497 | 14.0% |
| 令和4年度 | 3,454 | 425 | 12.3% |
| 令和3年度 | 3,532 | 453 | 12.8% |
| 令和2年度 | 3,658 | 588 | 16.1% |
| 平均 | 3,555 | 510 | 14.3% |
「相続税法」の合格率
選択科目「相続税法」の過去5年の平均合格率は「13.6%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 2,515 | 471 | 18.7% |
| 令和5年度 | 2,428 | 282 | 11.6% |
| 令和4年度 | 2,370 | 336 | 14.2% |
| 令和3年度 | 2,548 | 325 | 12.8% |
| 令和2年度 | 2,499 | 264 | 10.6% |
| 平均 | 2,472 | 336 | 13.6% |
「消費税法」の合格率
選択科目「消費税法」の過去5年の平均合格率は「11.6%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 7,206 | 740 | 10.3% |
| 令和5年度 | 6,756 | 802 | 11.9% |
| 令和4年度 | 6,488 | 740 | 11.4% |
| 令和3年度 | 6,086 | 726 | 11.9% |
| 令和2年度 | 6,261 | 782 | 12.5% |
| 平均 | 6,559 | 758 | 11.6% |
「酒税法」の合格率
選択科目「酒税法」の過去5年の平均合格率は「12.9%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 528 | 64 | 12.1% |
| 令和5年度 | 463 | 59 | 12.7% |
| 令和4年度 | 454 | 60 | 13.2% |
| 令和3年度 | 470 | 59 | 12.6% |
| 令和2年度 | 446 | 62 | 13.9% |
| 平均 | 472 | 61 | 12.9% |
「国税徴収法」の合格率
選択科目「国税徴収法」の過去5年の平均合格率は「13.3%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 1,670 | 217 | 13.0% |
| 令和5年度 | 1,646 | 228 | 13.9% |
| 令和4年度 | 1,709 | 235 | 13.8% |
| 令和3年度 | 1,702 | 234 | 13.7% |
| 令和2年度 | 1,629 | 198 | 12.2% |
| 平均 | 1,671 | 222 | 13.3% |
「住民税」の合格率
選択科目「住民税」の過去5年の平均合格率は「16.2%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 461 | 84 | 18.2% |
| 令和5年度 | 462 | 68 | 14.7% |
| 令和4年度 | 476 | 82 | 17.2% |
| 令和3年度 | 378 | 48 | 12.7% |
| 令和2年度 | 381 | 69 | 18.1% |
| 平均 | 432 | 70 | 16.2% |
「事業税」の合格率
選択科目「事業税」の過去5年の平均合格率は「14.0%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 249 | 34 | 13.7% |
| 令和5年度 | 250 | 41 | 16.4% |
| 令和4年度 | 269 | 38 | 14.1% |
| 令和3年度 | 302 | 38 | 12.6% |
| 令和2年度 | 335 | 44 | 13.1% |
| 平均 | 281 | 39 | 14.0% |
「固定資産税」の合格率
選択科目「固定資産税」の過去5年の平均合格率は「16.2%」です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 893 | 161 | 18.0% |
| 令和5年度 | 846 | 146 | 17.3% |
| 令和4年度 | 910 | 167 | 18.4% |
| 令和3年度 | 941 | 130 | 13.8% |
| 令和2年度 | 874 | 118 | 13.5% |
| 平均 | 893 | 144 | 16.2% |
各科目の受験者数ランキング
必修科目(簿記論・財務諸表論)以外の選択必修科目・選択科目の受験者数ランキングは下記のとおりです。
選択必修科目は「法人税法」、選択科目は「消費税法」「相続税法」を選択した受験者が多いことが分かります。
| 順位 | 科目 | 受験者数 |
|---|---|---|
| 1 | 消費税法 | 6,559 |
| 2 | 法人税法 | 3,555 |
| 3 | 相続税法 | 2,472 |
| 4 | 国税徴収法 | 1,671 |
| 5 | 所得税法 | 1,296 |
| 6 | 固定資産税 | 893 |
| 7 | 酒税法 | 472 |
| 8 | 住民税 | 432 |
| 9 | 事業税 | 281 |
資格試験の概要
受験資格
税理士試験には「受験できる人の条件」があります。
必修科目の簿記論・財務諸表論(会計学科目)は、「誰でも受験可能」です。
年齢・学歴・職歴などの条件はありません。
その他の9科目(税法科目)は、「学歴要件」「資格要件」「職歴要件」のいずれかを満たす必要があります。
主なものは以下の通りです。
- 大学・短大・高専卒業で、社会科学に属する科目(法律学や経済学など)を1科目以上履修した人
- 大学3年次以上で、社会科学に属する科目(法律学や経済学など)を1科目以上含む62単位以上取得した人
- 日商簿記検定1級または全経簿記検定上級の合格者
- 会計や税務に関する実務経験が2年以上ある人
- 公認会計士(短答式)試験や司法試験の合格者 など
試験内容
税理士試験は「11科目」の中から「5科目」に合格することで、税理士の資格を取得できます。
科目は大きく3つに分かれています。
| 必修科目 (2科目必ず合格が必要) | ・簿記論 ・財務諸表論 |
| 選択必修科目 (どちらか1科目必須) | ・所得税法 ・法人税法 |
| 選択科目 (7科目のうちから自由に選択) | ・相続税法 ・消費税法 ・酒税法 ・国税徴収法 ・住民税 ・事業税 ・固定資産税 |
試験はすべて「記述式(計算問題・理論問題)」で行われます。
マークシートではなく、自分で答案を記入する形式なので、正確な知識と理解力が求められます。
合格基準
税理士試験は「科目合格制」が特徴です。
一度に5科目合格しなくても、1科目ずつ積み上げて資格取得できる仕組みです。
合格基準は、各科目とも「満点の60%以上」。
一度合格した科目は生涯有効です。
5科目すべてに合格するまで、何年かかっても大丈夫です。
科目免除等について
税理士試験には「科目免除制度」があります。
大きく分けると、「一部の科目が免除される人」と「試験を受けなくても税理士になれる人」の2パターンがあります。
| 一部の科目が免除されるケース | ・大学院で「会計学」や「税法」を研究して修士課程を修了すると、対応する試験科目(簿記論や財務諸表論、税法の一部)が免除されます。 |
| 試験を受けずに税理士になれるケース | ・公認会計士や弁護士の資格を持つ方 ・国税庁や税務署で一定以上の勤続年数、税務に携わる経験を持つ人 |
願書申込み受付期間・試験日時・合格発表日
| 願書申込み 受付期間 | 4月中旬~5月上旬。 |
| 合格発表日 | 11月の下旬。 |
| 試験日時 | 8月上旬の3日間。 科目ごとに日程と時間割が異なります。 1日に複数科目を受験することも可能で、受験スケジュールは自分で決められます。 |
| 試験日 | 科目・試験時間 |
|---|---|
| 1日目 | ・簿記論:9:00~11:00 ・財務諸表論:12:30~14:30 ・消費税法または酒税法:15:30~17:30 |
| 2日目 | ・法人税法:9:00~11:00 ・相続税法:12:00~14:00 ・所得税法:15:00~17:00 |
| 3日目 | ・国税徴収法:9:00~11:00 ・固定資産税:12:00~14:00 ・住民税または事業税:15:00~17:00 |
受験地・受験料・運営団体
| 受験地 | 受験地は、全国の主要都市(北海道から沖縄まで13か所以上)に設けられています。 地方在住の方は、最寄りの都市に移動して受験することになります。 |
| 受験料 | 受験料は、受験する科目数に応じて変動します。 ・1科目:4,000円 ・2科目:5,500円 ・3科目:7,000円 ・4科目:8,500円 ・5科目:10,000円 |
| 資格の運営団体 | 国税庁 |
合格後の資格登録や認定証などの交付までの手続き
税理士試験に合格しただけでは、まだ「税理士」として働くことはできません。
合格後には以下の手続きが必要です。
資格の有効期限と更新について
税理士の資格には 有効期限がありません。
一度登録すれば、生涯にわたって「税理士」の資格を持ち続けることができます。
ただし、実務を行うためには税理士会への登録を維持し、会費を支払う必要があります。
また、法律で定められた研修を受ける義務があります。
- 日本税理士会連合会の規則により、税理士は1年間で36時間以上の研修を受けることが義務付けられています。
- これは、税法が改正されたり、新しい税制が導入されたりする際に、常に最新の知識を身につけるためです。
- 研修は、税理士会が開催するセミナーやeラーニング、通信講座などで受講できます。
もし、登録を抹消(税理士をやめること)したとしても、またいつでも再登録が可能です。
専門性の高い税理士の仕事は、一度取得すれば一生もののスキルになります。
税理士の業務内容は?
税理士の仕事は、大きく分けて次の3つに分けられます。
これらは「税理士だけができる独占業務」です。
| 税務代理 | 税務署への申告や手続きを、依頼者の代わりに行う仕事です。 例えば、確定申告や法人税の申告など、専門的でミスが許されない部分を税理士が対応します。 |
| 税務書類の作成 | 税務署に提出する申告書や届出書などの「税に関する重要書類」を作成します。 税法は非常に複雑ですが、税理士が作ることで正確かつ合法的な手続きができます。 |
| 税務相談 | 「節税する方法は?」「この取引の税金はどうなる?」といった相談に応じます。 中小企業の社長や個人事業主にとって、最も頼りになる相談役になります。 |
これらの独占業務以外にも、下記のような幅広い仕事をしています。
- 経営者に対する財務アドバイス
- 会社の決算業務や会計処理の指導
- 相続や事業承継に関する相談
- 将来のお金の流れを考える経営コンサルティング
税理士は、会社が税金で困ることのないよう、そして事業がうまくいくように、お金の面から支える大切な役割を担っています。
税理士の就職・転職メリット
税理士資格を取得すると、就職や転職活動において非常に有利になります。
お金に関する専門性が高いため、金融機関や会計事務所、一般企業など幅広い就職先があります。
また、資格を活かせる職場では「資格手当」が支給されるケースも多く、収入アップも期待できます。
税理士資格を活かした副業や独立
税理士は「独立しやすい資格」の代表格です。
会社に勤めながら副業的に個人事業主の確定申告を手伝うことも可能ですし、経験を積めば独立開業して税理士事務所を運営することもできます。
- 知人や個人事業主の確定申告サポート
- フリーランスや小規模事業者への会計指導
- セミナー講師や執筆活動
税理士は、独立して自分の事務所を立ち上げることが可能です。
独立すれば仕事の幅や収入も大きく広がり、顧客次第で高収入を目指すことも可能です。
また、自分のスタイルに合わせて働ける自由さも大きな魅力です。



